意思決定は4つの軸で見つめ直す

2022.05.15 キャリアのルールと歩み方

意思決定は4つの軸で見つめ直す

志望する企業から内定が出たとしても、いざ転職をするかしないかの決断をするとなると、やはり不安になるものです。
転職をすることも大きな決断ですし、しないことも大きな決断です。
今回は、転職における決断の際に、何を考え、どんな軸で意思決定をすれば良いかについてお伝えできれば幸いです。

転職をしたい理由を改めて磨き上げる

転職活動を始めたときと、今とでは、転職に対する考え方が変わっていることがあります。
例えば、今いる会社の将来性に不安を感じて転職を始めたのに、いつの間にか年収が高い会社に行きたい、となっているかもしれません。
自分で調べたり、誰かに相談したり、面接を受けたりする中で、転職のイメージが明確になったり、思考が変わったりすることは自然なことですので、考え方が変わること自体は問題ではありません。
ただし、その変化がブレを与え、自分の本音(価値観)が隠れてしまっていることには注意が必要です。
そのため、転職の決断をする前にそのブレを取り除き、自分の本音に改めて耳を傾けていただきたいと思っています。
自分の純粋な価値観に改めて向き合い、会社を移るか、現職に留まるかの決断をしていくことが今後のキャリアにおいて非常に重要だと考えています。

キャリアにおける価値観とは、「キャリアにおいて何を大切にしたか?」という問いに対する答えです。
私が転職者の方とお話しするとき、価値観を「年収」、「ブランド」、「業務内容(やりたいこと)」、「ワークライフバランス」の4つで整理することがあります。そのうえで、どの要素が一番大切か、優先順位はどのようになるかを考えていきます。
例えば、「500万でやりたい仕事をやるか、1000万円で全然やりたくない仕事であればどっちが良いか?」といったことを質問しながら、さらに価値観を深めていきます。
どの要素が大切かは人によって異なりますので、自分自身だけでなく周りの方やエージェントなどに相談いただき、価値観の深堀をしていただければより明確になると思います。
価値観については、別の記事でより深くお伝えしたいと思いますので、またそちらもお読みいただければ幸いです。

転職をするという決断にしろ、しないという決断をするにしろ、必ず自分の純粋な価値観に照らし合わせていただくことが重要です。

決断とは何か?

何度か、「決断」という言葉を使いましたが、私は転職について意思決定をするとき、「選択」ではなく「決断」という言葉を使っています。
「選択」とは、何かを選ばないといけない状態(つまり期限がある状態)で選ぶという行為で、その後の人生に対しての影響は軽微だと考えています。例えば、お昼ご飯に何を食べるかというのは選択です。お腹を満たすためには何かを選ばないといけませんが、そのときの気分で選ぶ方が殆どかと思います。

それに対して、「決断」は自分で期限を設定し、想いをもち、不可逆的なリスクを覚悟した上で、ほかの選択肢を絶つ行為だと思っています。
例えば、一人の女性と一生を添える覚悟をもってする「結婚」はまさに決断ですし、一生に1度か2度しかしないだろう「家の購入」なども決断と言えます。そして、「転職」もまた決断です。
決断には、不可逆的なリスクを理解しておくことがとても重要です。その不可逆的なリスクを正しく認識しないと、得も言われぬ不安が付きまとい、決断を下すことが難しくなります。

不可逆的なリスクとは何か

不可逆的なリスクとは、取り返しがつかないリスクのことを指します。決断をする際には、他の可能性を切ることになりますので、不可逆的なリスクを孕んでいます。
例えば、伝統的な大手事業会社に在籍しており、ベンチャー企業への転職をしようか迷っている方がいるとします。もし、その方が、将来その会社の社長になりたいのであれば、ベンチャーへは転職せずにその会社でキャリアを築くべきです。なぜなら、ベンチャーに転職を1度してしまうと、大企業に戻ることは大変難しくなるからです。

上記の例は少し極端ですが、全ての人が抱えているキャリア上の不可逆的なリスクがあります。

それは、「年齢」です。
こちらはまた別の記事で詳しくお伝えしますが、例えば、コンサルタントや営業職に未経験でなりたいのであれば、20代半ばまでに転職をしなければ、ポテンシャル採用の枠に応募できなくなってしまいます。

このように、今だからこそ取れる選択肢があることには、留意していただきたいです。
ただし、不可逆的なリスクは、避けなければならないものではありません。大切なことは、それらを正しく把握することです。その上で、不可逆的なリスクをとってでもその道に進むのか、もしくは不可逆的なリスクを避けるのか、決断してことが必要です。

決断できるかどうかは、最終的には覚悟を決められるかどうか、です。転職をしないにしてもするにしても、なりたい姿へ近づく、より成長する、より高みに上るためには、漠然とした不安や恐怖を克服し、覚悟を決めなければ実現しません。
そして、覚悟を決めて先に進んだ方は遅かれ早かれ急に大きく成長します。私は「化ける」と表現したりしますが、この化ける姿を特等席で見たとき、とても嬉しく、エージェントとしてやりがいを感じます。そして私自身もそのような姿を見ながら、負けないようにもっと成長していかなければと思い仕事に取り組んでいます。

話は逸れてしまいましたが、少しでも多くの方の決断の手助けになることができればと強く願っています。この機会がキャリア形成の一助となれば幸いです。

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