キャリア構築におけるコンサルタントのメリット

2022.11.29 キャリアのルールと歩み方

キャリア構築におけるコンサルタントのメリット

コンサルの特殊性①:プロジェクト型の働き方

コンサルタントのキャリア構築におけるメリットの前に、そもそものコンサルタントの働き方の特殊性、つまり特徴についてお伝えします。

まず、世の中の企業は、事業会社と支援会社に分別されます。前者は自動車業界、製薬業界、通信業界など、自社が中心となってサービスを展開する企業であり、私達が企業として想像する多くはこの事業会社です。

その一方で、支援会社は事業会社の事業を支える企業です。具体的には、SIer、広告代理店、法人向けの弁護士事務所や会計事務所などです。そしてコンサルティングファームも支援会社に当たります(もちろん、すべての企業がどちらかにキレイに分類できるわけではなく、事業会社でも支援会社の側面をもってるパターンや、その逆のパターンもあります)。

事業会社と支援会社では、個々人の働き方も大きく変わります。

事業会社は組織全体でサービスを提供するために、機能別で部や課に分かれていることが多く、部門間の異動もあまり活発ではないことから、個人個人はルーティン型の働き方、つまり似たような業務に長期間従事します。

その一方、支援会社ではプロジェクト毎にチームを組んでサービスを提供します。プロジェクトは数ヶ月〜半年、長くても1年という比較的短い期間で一区切りつきます(弁護士事務所などはプロジェクトベースではなく、顧問という形が多いです)。

プロジェクトが変わると業務内容も大きく変わります。業界やソリューション(サービス)が変わることも珍しくありませんし、同じ業界やソリューションであっても、クライアントが変われば課題も変わります。

また世の中の動きや時代によってもテーマは変わります。一昔前ではコストカットや事業戦略の構築などが、少し前にはクラウド化や海外マーケットリサーチなどが、最近ではリモートワーク環境の構築などのDX周りがトレンドです。
支援会社では、このようなプロジェクト型の働き方が特徴的です。

コンサルの特殊性②:支援領域が問題解決

支援会社の中でもコンサルティングファームは、支援会社の中でも業務内容の振れ幅が大きい、かつ若手のうちから高いレベルが求められることも大きな特徴です。

コンサルティングファーム以外の支援会社では、ある程度決まった支援領域を持っています。例えば、SIerであればシステム構築、広告代理店であればプロモーションやマーケティング、そしてクリエイティブが主な支援領域です。その一方で、コンサルティングファームの支援領域は問題解決です。必要があればシステム構築やマーケティングも行いますし、戦略を描いたり、その実行を支援したりと、非常に幅広い支援を行います。

そのため、コンサルタント一人ひとりの業務内容の振れ幅も非常に大きくなります。

また、コンサルティングファームに依頼されるプロジェクトの多くは、事業会社が自分たちだけではうまく(もしくは早く)解決できない問題の解消が目的であり、それゆえ難易度も高く、若手のうちから高い難易度の思考や行動が求められます。

キャリアのメリット① 成長や経験の前倒しができる

では、本題であるコンサルタントのキャリア構築におけるメリットについてお伝えします。

まずは、成長や経験の前倒しができるという点です。

コンサルの特殊性の一つとして若手のうちから高いレベルが求められるということを述べました。例えば、1年目であろうと部長や課長クラスの視座を持って事業を理解する必要がありますし、そういった役職の相手とディスカッションをする機会も実際にあります。

クライアントからは、若手であるとか1年目であるとかは関係なくプロとして見られますし、バリューをクライアントが感じなければ、プロジェクトから外されることもあります。

これは、シニアコンサルタントなどの中堅の職位でも同様で、3年目くらいになると事業部長、役員クラスのカウンターパートと議論を行う機会も増えますので、業界や企業の現状や将来の見立てなどについても深く理解しておくことが必要です。

資料作成やプレゼン、ファシリテーションなどのポータブルスキルが高いレベルで身に付くということもありますが、このように、一般の事業会社と比較してビジネス的な視座がぐっと上がるという側面もあります。
また、業務の経験についても、事業会社であれば長年希望してやっと携われる事業開発や中期経営計画の策定などの仕事に、プロジェクトによっては1年目であっても挑戦できるチャンスがあります。

キャリアのメリット② キャリアチェンジの起点になる

キャリアチェンジの起点になるというのも非常に大きなメリットです。

キャリアのルールと歩み方 」で詳しく書きましたが、キャリアは広げるものではなく、絞り込んでいくものです。例えば、営業として4、5年キャリアを積んできた方が事業企画や商品企画などの企画職にキャリアチェンジをするというのは通常は難しく、転職するとしても営業として他業界に移るというのが一般的です。

しかし、コンサルタントをキャリアとして挟むことで他職種にいけるチャンスが広がります。先程の例でいえば、営業職→コンサル→企画職といった具合です。つまり、コンサルキャリアがキャリアチェンジの起点になるということです。

コンサルキャリアがキャリアチェンジの起点になりうる理由は、採用側から見たときに、コンサルタントの経験が汎用的な能力や適応力の担保になっているからです。

前項でも述べたように、コンサルタントは高いレベルでの仕事が求められ、そのためポータブルスキルを始めとして、ベーススキルが高いレベルで身につきます。

また、プロジェクトベースで様々な仕事に従事しているため、新しい仕事への適応力も高まっています。こういった点で採用側にとって評価がしやすいのです。

ただし、これは若手のうちだけで、マネージャー以上になると他業界や他職種での転職は難しくなります。これは、マネージャー以降は、年収の上がり幅が大きくなり、転職先との年収やポジションなどの折り合いが付きづらくなってくるためです。この点は注意が必要です。

キャリアのメリット③ 介在価値が高く、やりがいと高年収に繋がりやすい

そして、コンサルタントは介在価値が高いためにやりがいと高年収に繋がりやすい、ということもキャリア上のメリットです。


コンサルタントは自分自身がサービスであり顧客にとっての価値です。

例えば、営業の場合、商品やサービスが売れるかどうかは「商品・サービスそのものの価値×営業(=人)の価値」で決まります。極端な話、営業の力がそこまでなくても素晴らしい商品やサービスであれば売れてリピートもされます。

しかし、コンサルタントはサービスが自分自身であり、自身の価値が低いとプロジェクトにアサインされず、プロジェクトに入ったとしてもリリースされてしまいます。

プロジェクトの現場でも、「今回の資料はバリューが発揮されていたね」や、「今日の会議でもっとバリューを出すためにはどうしたら良かったかな」といった会話が日常的になされます。

クライアントやファームからの評価は自分自身への評価であり、そういった意味で、介在(もはや介在ではありませんが)価値が高いと言えます。

コンサルタント自身がサービスであるということは、コンサルタントが高収入であるということにも繋がります。

コンサルティングファームのビジネスモデルは、大規模な施設や設備が不要なため設備投資が他業界に比べて低くなり、固定費のほとんどがコンサルタントの人件費であり、利益率の高くなりやすい構造です。

このビジネスモデルがコンサルタントの高収入に繋がっています。

大体のファームでは30歳前後でマネージャーにプロモーションし、そうなると年収は1000万円を超え、その後も一般的な事業会社よりも高い水準で推移していきます。
やりがいという点についても、成長や経験の前倒しができる点やプロジェクトベースで様々な領域に携われるという点でも満たしやすいですし、なによりコンサルタントは自分自身が評価され、そして自分自身に価値が付く職です。これがコンサルタントの醍醐味といっても良いかもしれません。

全員が全員成功するわけではない

ここまで読むとコンサルタントはメリットだらけのように思えるかもしれません。

実際、キャリアにおいてコンサルタントのメリットはたしかに大きいです。しかし、だからといって誰しもがコンサルタントを目指した方が良いかと言うと、全くそういうわけではありません。むしろ、メリットだけを見て安易にコンサルタントを目指すということはおすすめしません

これまで述べたようなメリットは、コンサルタントになりさえすれば得られるというわけではなく、高いレベルの要求水準に応え続けたその先でやっと勝ち取れるものです。

そして、そのためには、大変な努力が必要であることはもちろん、成長を続けるためのマインドセットを持てるかどうかが最も重要です。コンサルタントの考え方や仕事への取り組み方は他の業界や職種と大きく異なりますので、今までのやり方が通用しないことの方が多いです。

そういった壁を目の前にしたときに、素直で謙虚なマインドを持ちながらも、泥臭く目の前の困難に対してプロフェッショナルとしてやり抜く覚悟を持てるかどうか、が成長できるかどうか、そしてコンサルタントとして成否を大きく左右する要素なのです。

自分自身に価値が付くからこそ日々の努力が欠かせません

また、コンサルタントは業務内容がマネージャーを境に大きく変わりますマネージャーまではデリバリー、つまり如何にプロジェクトで成果を出すかが問われますが、マネージャー以降はセールス、つまり如何にプロジェクトを生み出すかが問われます。

ここまで、コンサルタントのキャリア上のメリットについてお伝えしました。コンサルタントというキャリアは、特に若い方にとっては、マインド、スキル、経験、そしてそれらを踏まえた市場価値といった点からキャリアチェンジの起点として大きな選択肢になります。

また、そうでなくとも、コンサルタントとしての仕事自体もやりがいを感じやすく、収入も比較的高くなりやすいため、キャリアそのものの魅力も高いです。
もちろん、全員が全員合うわけではありませんが、特に、成長マインドやプロフェッショナルマインドがある、もしくは身につけたいという方にとっては、コンサルタントはキャリアの選択肢の一つとして考えるに値する仕事ではないでしょうか。

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